列車の中で一人思う。

折尾駅の構造は面白い。
たまには文体を変えてみる。どうも。
往復五時間という通学時間は話のネタにしやすい。
様々な土地から大学にやって来ている人々。
「何処から来た?」
「自宅生?」
この質問は当たり前の様に交わされる。
俺がその質問に答えると話相手は驚く。
そこから話が広がりやすい。
・・・が、実際にやってる人間にとってはしんどい事この上ない。
話を聞く限り、一人暮らしも決して楽ではないようだが。
ただ、そんな電車通学にも光はある。
その一つが今日の出来事だ。
俺は列車の中でラジオを聴きながら眠っていた。
ふと目を覚ますと隣に美しい女性が座っていたのだ。
正確には「美しそうな女性」か。
顔はよく見えず、気になって仕方がなかった。
女性は隣の男が何を考えているかなど知る由もない。
居眠りを始めた。
チャンス!
顔を見ることが出来る。
無論、車内には他にもたくさんの人がいる。
それに、その女性がいつ目覚めるかは分からなかった。
あからさまに見つめる訳にはいかない。
だが策はあった。
目には目を、居眠りには居眠りを。
窓に寄りかかり、左手で顔を覆い、指と指の隙間から。
見えた!
ほほう・・・。
小さな幸せ。
それから少し経った。
女性は目を覚まし、さっさと降りてしまった。